痛ましい自動車事故が原因となり、アルコールに対する規制が強まり
今や飲酒運転の罰則金額が100万円となる世の中となった。
国内の酒造メーカーも苦しいところであるが、昨今は海外向けに展開を広げて
成功を収めつつあるメーカーも増えてきた。
JAPANESE SAKE が海外で認められてきた。
そんな中で、JAPANESE WINE も負けてはいない。
山間を超え、稲穂が揺れる町に突如として現れる大きな看板。
丹波ワインと書かれていると、なぜか勝手に美味しそうに思えるから不思議だ。
食に関わるものについて「丹波ブランド」は何か感じさせるものがある。
大きな看板の指す矢印に従い、やはり稲穂の揺れる道を抜けていくと
突然工場と社宅が並び始め、人の気配が生まれ始める。
丹波ワインは、店舗と工場に分かれていて
店舗で工場見学を希望すると、1時間ごとにご案内をしてもらえる。
丹波ワインの店舗自体は、それほど大きいわけではなく
テニスコートひとつ分より少し小さいくらいの大きさで
店舗に入ってみると左手にバーカウンター設備が華やかに輝いている。
受付に工場見学の旨を伝えると、時間ぴったりに工場見学が開始される。
30段ほどの階段を登り終え、程なく歩いた先に、ぶどう畑が視界に広がる。
国内産であるということを、言葉よりも視覚で伝えることが出来る。
そもそも、黒井電機という会社を経営していた故黒井哲夫氏が
理想のワイン造りを目指して立ち上げたのが丹波ワインである。
その理想実現の為に、黒井電機の経営を他に任せたほどというから
その本気度合いたるや凄まじく、人生をかけて臨んだようだ。
最初は酒樽を使って作り始めたワイン工房も、今や工場見学にも
対応可能な押しも押されぬ丹波代表の観光施設に成長した。
ガイドについてはさすがに、一日に何度も対応されていることもあるだろうが、
しっかりした教育によって知識を蓄えている自信が見え、とても安心感がある。
昨今の観光形態の中では、こういったガイドからいろんな知識を学べる場に
興味関心が高まっている傾向があり、その点で丹波ワインは強みがあると言える。
中身が詰まった聞き応えのあるガイドを終えると、お楽しみの試飲となる。
ツアー客は安心してワインを楽しめるが、一般客では車で帰ることを考えて
誰が運転手を務めるかを決めなくてはならないので、事前に注意が必要。
赤、白、スパークリング、辛口、甘口など様々な味を試飲させてもらうと、
お土産にも気分良くお金を使ってしまうかもしれない。
丹波ワインの味わいは、「日本食とぶつかることがない」というもの。
海外の食事は油分をベースに濃い味が多く、その味に負けない濃い味わいの
ワインが多いとのことだが、水分ベースの比較的薄味な日本食とマッチするのは
マイルドに仕上げた国産の丹波ワインであると、味を誇る。
ワインではなく、日本食という文化を伝える丹波ワイン。
健康志向で見直される日本食の良きパートナーとして、丹波発の
世界的ブランドに成長していくことを期待したい。