2011年8月31日(水) | by 横田 コメントする

インターネット社会が、日本の文化に大きな変化を起こしている。
これまでの価値観では考えられないような仕組みが、世の中に生まれてきた。

少し前の記事で、「インターネット参拝」というものが取り上げられた。
遠くにいて寺院にまで足を運べない人に、お参りの機会を提供するというもの。

信仰というものが、インターネットを通じてなされることに関しては、肯定派も否定派も
どちらもあながち間違いとは言えない意見で議論が為されている。

 

話は丹波市に戻り、ある日、農道を走っていると、ふと目に付いたのが石灯籠。

立派な石灯籠だと思って周囲を見回すと、他にもお釈迦様、お地蔵様、墓石など、
綺麗に切削された石の建築物が並んでいる。

ふと考える。そういえば、この石材は、どんな種類の石で出来ているのか。
祖父も眠っている墓石、この墓石の文化、いつから文化として定着したのか。

身近にありながら、何も分かっていないことに気付く。
そもそもお墓の役割も、基本の基本から分からない。
そこで勇気を持って聞いてみることにした。

 

丹波市春日町にある(株)北山石材。

営業部門を統括される、北山登志紀さんから石材業についてお話を伺った。
先に結論を伝えたい。非常に面白く、先人の伝える歴史に感動する。
ここで、すべてを紹介すると読むことに苦労するので、いくつか抜粋をさせて頂く。

 

歴史的な側面:墓石の文化はいつからか?

そもそも墓石の文化は、平安時代に中国からもたらされ、
身分や位の高いとされた人々に伝播していったものであるとのこと。

一般庶民にその文化が定着したと言われているのが江戸時代。
身分の高い人たちの文化を模倣していったのではないかと考えられる。

墓石というのは、昔からすれば裕福な財力に恵まれた富裕層にのみ許される
高級で、文化的な建築物であったことがわかる。

 

技術的側面:どんな素材が使われているのか?

墓石に使われる原材料として、主流なものは花崗岩である。
強度が高く、今では墓石の素材では一番人気の素材だ。

しかし、花崗岩は強度があるため、機械に頼ることが出来なかった石工にとって
非常に厄介な存在であり、よほど、名のある武将でないと花崗岩による墓石の建築は
避けられていたようだ。

加工がしやすいのは強度面では少し劣る「玄武岩」というもの。

古い碑石で、黒ずんで薄く苔を生している ようなものを想像頂けるだろうか。
それが玄武岩の碑石である。

玄武岩は、手作業でも加工が比較的容易だったので、一般庶民には馴染み深い
素材として用いられていた。

 

しかし、昨今では機械化が進む世の中で、花崗岩の強度をものともしない加工技術が
備わったことで、加工が難しく高級な素材として使われていた花崗岩も、一般庶民が
利用できる墓石材料として使うことができるようになってきたという。


技術革新により、一部の富裕層しか得られなかった文化的な恩恵を
一般庶民も同じように享受するようになったというストーリーは、
家電が日本の中に広まる過程において進んだ歴史と、非常に良く似ている。

石材業界にも、昨今の技術革新を通じて大きな変化がもたらされたことがわかる。

 

デザイン面:墓石の形にも想像を超えたストーリーがある

宝篋印塔という写真のようなデザインの墓石を見た人も多いはず。
この墓石の形には、きっと多くの人が知ることもない思いが込められている。

上から下にかけて5つ、世界を構成する要素がデザインされている。
大袈裟な話ではなく、事実として先人が、そのように設計していたものだ。

上から、空、風、火、水、土、の5つである。
その世界を構成する要素、その下に魂が眠るというデザイン。

ちょっとした興味本位で立ち寄り、お聞きすることが出来た石の文化。
大人の社会見学としては、これほど学び甲斐の あるテーマだとは想像もしなかった。

 

歴史的な側面でも、技術的な面でも、デザイン面でも、その他においてでも
恐らく多岐にわたり、また深く掘り下げていくことが出来るテーマである。

生前葬なども文化として生まれてきた昨今、今後は興味を持つ方が
増えていくのではないかと感じている。

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