2011年2月01日(火) | by 管理人 手づくりで進めた新たなツーリズム―伊根の舟屋― はコメントを受け付けていません

伊根町と伊根湾

伊根町は、人口約2,600人。丹後半島の東側に位置しており、古くから漁業が栄え、舟屋群や浦島太郎・徐福などの伝説、温泉などの観光資源にも恵まれた町だ。

伊根湾伊根町では、湾一帯に舟屋の建ち並ぶ伊根湾に伊根(いね)、徐福の祀るられている新井に新井崎(にいざき)、温泉の湧き出る泊に朝妻(あさづま)、浦島太郎の祀るられている本庄に本庄浦(ほんじょううら)、リアス式のカマヤ海岸を有する蒲入に蒲入(かまにゅう)の5つの漁業地区があり、大型・小型定置網を中心に、釣り、延縄、水視など各漁業が営まれている。

なかでも 若狭湾に面した伊根浦は、日本海側には珍しく南に開けた静かな入江であり、東、西、北の三方を山に囲まれている。

湾の入口には自然が築いた防波堤のように、シイなどの大木が生い茂る青島が浮かんでおり、漁師の海の守護神である蛭子神社が祀られている。

伊根浦の三方を囲んでいる急斜面の硬い岩山は、そのまま海に落ちて深い溝を形成する。波を起こしにくい地形だ。この自然環境が、潮の干満差のきわめて小さい、年間50cmという日本海では奇跡とも言える波静かで穏やかな良港を生んだ。

およそ350世帯の伊根浦集落は、約5kmほどの海岸沿いに連続して連なっている。海から直接乗り入れのできる船のガレージとも言える舟屋群230棟が独特の景観となって、2005年7月重要伝統的建造物群保存地区に選定された。これまで重要伝統的建造物群保存地区の種別に漁村はなく、伊根浦集落が初めての地区である。また伊根湾が含まれることも初めてのことだ。

伊根湾の漁業と観光業

舟屋伊根湾での漁業には、1656年から1927年まで、約350頭の捕鯨の記録が残されている。湾の特徴を活かして鯨を追い込み、青島の両側をたくさんの船で塞いで捕獲するという漁が行われていたという。その頃青島では、鯨の解体が行われていた。青島の頂上にある蛭子神社の参道脇には、3つの古びた鯨の墓が残され、鯨の島だった証を今に伝えている。

現在は、沿岸に設置する定置網により、イワシ類、アジ、ブリなどの漁業と、湾内で岩ガキ、ハマチ、真鯛の養殖が行われている。もっとも、漁業に携わる人口は減少し続けている。

1970年、旧国鉄が個人旅行客の増大を目的に始めたキャンペーン「ディスカバー・ジャパン」は、伊根湾にも多くの観光客を呼び寄せた。230軒の舟屋が観光名称となり、最盛期には一般民宿45軒、舟屋民宿20軒があった。しかしそれも、経営者の高齢化や観光客の減少で寂れ、現在は一般民宿17軒、舟屋民宿8軒にまで減少した。

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