2011年3月30日(水) | by 管理人 1 コメント

京みず菜で、京都府下でもトップクラスの地位を築いた綾部市の農業生産法人、「株式会社農夢」。設立から3年で黒字化をめざすその経営手法をレポートする。

設立の経緯

2007年11月、京都府綾部市に全国でも珍しい第三セクター方式による農業生産法人、株式会社農夢が設立された。発起人代表の四方八洲男綾部市長(当時)は、設立に向けた思いを、次の2点に集約して語っている。

ひとつは、農業の高齢化や後継者不足が進む中、「もうかる産業」としての農業を追求し、次の世代が進んで農業を選ぶ拠点となること。ひとつは、綾部市内にある京都府立農業大学校の卒業生を受け入れるなど、就農希望者をサポートし、中核農家の育成を担うこと。こうした思いは、「明日の農業には夢がある」を意味する「農夢」という社名に託されている。農夢設立

設立にあたって綾部市は、ほかに農業者3人と共同で3070万円の資本金を準備した。その後、京都府、全農、民間企業などからも増資を得て、現在の資本金は7020万円となっている。3年で黒字にするからと出資を募ったが、当初は誰も信じてくれなかった。なにせ60歳以上の高齢者が担う小規模農家がほとんどの土地柄である。農業は先祖代々の土地を守るもので、家業でこそあっても、それを産業と考える人はいなかった。

そんななかで異色を放つ「もうかる産業」にするという農夢のアプローチ。四方市長に請われて代表取締役に就任したのが、民間企業出身の塩見彰さんである。綾部育ちで、子ども時代に農作業を手伝った経験こそあったが、農業はいわばまったくの門外漢。しかし、あるいはそれゆえに、冷静な視線でビジネスとしての農業を分析することができたのかもしれない。

農場長には41歳(当時)の農業経験者を就け、専門性と若さを補った。総務は綾部市の農林部からの出向である。現在までに、当初の計画に添って農大卒生を3名採用、経理にも1名を雇い、ここにパート約25名を加えた体制となっている。

冷徹な計算

農夢の事務所は、綾部市位田町の綾部ふれあい牧場内にある。そこからほどない綾部市舘町に、数多くのビニールハウスが立ち並ぶ。ビニールハウスの建設には、平均して1棟150万円ともされるように、初期コストがかさむ。それでも農夢は最初に、舘町の1.4haの農地に、27棟を建設した。単純計算で、初期資本金の大半を設備費用に投じた計算である。ビニールハウスはその後19棟(1.3ha)を増築し、現在は46棟となっている。

資本金の多くをビニールハウスに投じた農夢。それは三セクゆえの「箱モノ」的判断と思われるかもしれない。しかし、社長を引き受けた塩見さんの決断は、決して三セクゆえの甘さから来たものではなかった。むしろ、工場長を経験した塩見さんならではの、独特の経営センスがそこにある。それは、「もうかる」ための投資は惜しまないが、それ以外のところでは削れるだけ削る、というものである。社長と農場長

事実、いわゆる間接費については、塩見さんは冷徹なまでに節減している。たとえば、事務所。農夢が事務所をおく綾部ふれあい牧場は、もともと市の持ち物である。この牧場の掃除や動物の世話などの管理をする代わりに、家賃は無償とする契約を市と交わした。机や椅子などの事務用品も、ほとんど市、府からの譲受品だ。新しく購入したものといえば、機械類くらい。ちなみに動物の世話には余禄があって、排泄物を堆肥として利用できるため、肥料代を節約できる。

ビニールハウス農業といえば、燃料代が気になるところだ。その点を確認すると、塩見さんは、農夢のビニールハウスは、暖房などの設備は備えていないという。壁面のビニールを二重にすることで、冬場でも太陽光で温熱効果があるように工夫しているのだ。

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1件コメントがあります

  1. 笹島 利江 より:

    突然のメールにて大変失礼いたします。
    私、東京都在住の笹島と申します。

    実は今、所有しております田んぼが長い間休田になっておりまして、
    購入していただける業者様を探しております。

    場所は、福井県大野市です。
    田んぼについて下記のホームページを作りました。
    http://sasajimatei.echizen-ono.jp/nochi

    大野市の農業地帯は、
    「上庄さといも」という里芋の産地として名は広まっておりますが、
    ここでとれる米もまた県内では上質でおいしいと昔から定評があります。

    地元では若い農業後継者も少なく、
    買い手がなかなか見つからないため、
    何か新しい方法で休田を利用していただける業者様がないかお探ししておりまして、
    御社のホームページを拝見いたしました。

    田んぼは、山すそ近くに広がる広大な農業地帯の中にあり、
    そばを清流が流れています。
    面積は5730.00㎡あります。

    もしご興味を持っていただけましたら、
    田んぼの様子を詳しくご説明させていただきますので、
    一度ご連絡をいただければ幸いです。

    よろしくお願い申し上げます。