NPO法人北近畿みらい設立記念シンポジウムは、神戸夙川学院大学教授の戸祭達郎様をコーディネーターに、パネリストに平嶋隆司(国土交通省近畿運輸局企画観光部長)、岩井美晴(㈱奥城崎シーサイドホテル代表取締役社長)、高御堂厚(62美山町自然文化村 支配人)の各氏を迎えて行いました。その模様を採録します。
京阪神をターゲットに
戸祭 まずはじめに、活動紹介していただけませんか?
平嶋 私は今、観光振興に携わっています。高速道路、高速バス、電車などを使いながらいろんな人に観光に来てもらう。観光に交通交換を絡め、観光と交通の相乗効果をもたらすことも大事だと思っています。
岩井 私が住んでいるのは豊岡市の竹野町(人口5000人くらい)という大変小さな過疎の町です。もともとは明石市出身で、大学卒業後、中小企業金融公庫に勤め、結婚を機に妻の実家である竹野のホテルを手伝うことになりました。最初はとんでもなく田舎に来たなと思っていましたが、宝石をちりばめたような竹野の自然に感動し、来てよかったと思っています。
高御堂 美山町に来て、17年。平成元年に「美山町自然文化村」が創設され、日本の原風景を残すところとして、年間約30万人が訪れています。何よりも自分が人に助けられながら暮らしてきた、と感じるこの美山の人の良さ、安心感を伝えたいと思っています。
戸祭 私は昭和35年に綾部高校を出て、近畿日本ツーリストに入り、35年間勤務しました。56歳のとき、人生何か面白いことできないかと、立命館大学経済学部の教授に転身しました。現在は神戸夙川学院大学で教授をしています。学生と一緒に水源の里の看板制作など、地域の活動に携わっています。
戸祭 北近畿の魅力とは?
平嶋 やはり「自然」「食べ物」が素晴らしいですね。北近畿のガイドブックの80%は自然、グルメについてです。また、大阪神戸京都という近畿圏の経済地域を近くに持っています。観光都市京都に来る人を呼び込める。そこに重点を置けば強みに変わると思います。
岩井 豊岡市竹野町は一町一川。上流(森)、中流(稲、田畑)下流(海水浴場)全てがひとつの町にあります。自分のようによそから来た人間には素晴らしいと思うところも、地元の人は意外と気づいておられないことが多いです。「何もない」と言いますが、やり方次第で何でもできるのだと思います。
高御堂 実は「北近畿」という言葉は知りませんでした。京都は「都の文化」。美山は「日本の農山村の原風景」。北近畿はそういうイメージ(コンセプト)がうまく伝わっていないのだと思います。しかし、実際に美山に住み、地域を知ることによって、こんな素晴らしいところがすぐそばにあったんだと気付きました。
戸祭 平嶋さんの「京都市から人を呼び込む」という視点はとても良いですね。京都市だけでも毎年5000万人の観光客が来ます。その1%でも北近畿に呼び込めたらいいですね。
平嶋 情報発信、ブランド化からいろんなものが始まると思います。栗、黒豆などはすでに有名ですね。今まで「お店で買うもの」から「実際に行って見る、食べる」ということが重要になったとき、「せっかく京都まで来たんだから、ついでに足を伸ばして行ってみよう」となります。そういうPRをしていくことが大事だと思います。
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